ネットフリックスの幹部。中央が共同CEOのグレッグ・ピーターズ。
David Becker/Getty
- ネットフリックスは企業文化をまとめたメモの改訂版で、「キーパーテスト」に関する新たな文言を追加した。
- キーパーテストとは、マネージャーが従業���を引き留めるかどうかを確認するテストだ。答えがノーなら、その従業員は解雇される。
- 「カルチャーデック」とも呼ばれるこのネットフリックスのメモは、企業の価値を単刀直入に述べているとして業界で知られている。
ネットフリックス(Netflix)は、同社の企業文化をまとめたメモを見直した。マネージャーが従業員を解雇すべきかどうかを判断するために自問する際の「キーパーテスト」に関する新たな文言を加えたのだ。
以前のキーパーテストは、次のようなものだった。
「チームのメンバーが別の会社で同じような仕事をするために退職するとしたら、マネージャーは彼らを引き留めるだろうか」
その答えが「ノー」の場合、その従業員には手厚い退職金が与えられて解雇される。さらに有力な後任者を見つけるためだ。
ネットフリックスは以前から、家族ではなくスポーツチームのように事業を運営していることで知られており、キーパーテストはそのカルチャーの一部となっている。これは従業員の在職期間が短い傾向にあることも意味している。優秀な人材を求め、成績の悪い人をすぐに解雇するからだ。
キーパーテストは最初の公開から進化し、次のように変わっている。
「もしXが辞めたいと言ったら、私はXを引き留めようとするだろうか」あるいは「今現在、知っているすべてのことを考慮に入れたとして、私は(過去に戻ったとき)Xを再び採用するだろうか」
その答えが「ノー」の場合、解雇した方が全員にとって公平だとメモに記されている。
つまり、これまでと同じ考え方が少し違う表現になっているだけだ。しかし、最新のメモには次のような免責についても記されている。
理論的に考えれば、キーパーテストは怖いものかもしれないが、実際には、何がうまくいっていて、何がそうでないのかを定期的にマネージャーに話すよう全従業員に勧めているということだ。これによって不測の事態が避けられる。また、マネージャーはチームメンバーそれぞれの失敗や報われなかった挑戦に焦点を当てるのではなく、全体的な業績を評価する。ドリームチームには、現状に抗い、新しいことに挑戦する人が必要だ。そのため、我々は短期的に困難なことがあっても、従業員をサポートし続ける。
キーパーテストは、2009年に公開された100ページを超えるメモで初めて導入された。創業者で元CEOのリード・ヘイスティングス(Reed Hastings)によると、同社はかつて、マネージャーに対して四半期ごとにキーパーテストを実施するよう促していたという。同氏はこのメモに基づき、18年来の友人である製品責任者を解雇したと報じられた。
このメモは当初、公開された企業文書としてはかなり単刀直入なものとみなされていた。その後、何度か改訂され、現在ではわずか5ページになっている。
ネットフリックスの共同CEOを務めるグレッグ・ピーターズ(Greg Peters)は、このメモが短くなったのは、自社の慣行を「うまく説明できるようになった」ためだと、2024年6月24日に公開されたThe Vergeのポッドキャスト「Decoder」で述べている。
オリジナルのメモによって、ネットフリックスが「過酷で、おそらく殺伐とした場所」であると間違った印象を与えることになったかもしれないが、ピーターズは「そうではない」と言う。ネットフリックスの考え方は、振り子が反対側に振れるように柔軟になりすぎた可能性があり、それがその後の3つのバージョンのメモに表れているという。
オリジナルの次のバージョンには、「基本的にネットフリックスの従業員は、会社の最善の利益のために行動すると信頼されていることから、マイクロマネジメントはしない」という宣言があったが、ピーターズによると、従業員はその「自由と責任」を間違って解釈し、会社全体の目標に沿わない方法で行動したという。その後、そのセクションは削除され、「プロセスよりも人」という新しいセクションに「このオープンさと自由を生かして活躍する、極めて責任感の高い人材」の採用に関する記述が追加された。
最新メモには「すべての意見が同じ価値を持っているわけではない」とも記されており、会社が成長するにつれて、すべての意思決定に全員を関与させることはもはや不可能になったとしている。
ネットフリックスのプレスリリースによると、6月24日に公開された最新メモは、従業員から寄せられた1500件のコメントを考慮に入れ、12カ月かけて作成されたという。
ネットフリックスのメモの最新版はこちらから見ることができる。