オーバーツーリズムに抗議する人々(2024年7月6日、バルセロナ)。
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- スペインのバルセロナでは7月6日、オーバーツーリズム(観光公害)に抗議する150以上の活動家グループが集まった。
- デモ参加者が観光客に水鉄砲を浴びせ、「帰れ」と言っている様子を映像は捉えている。
- バルセロナはオーバーツーリズムと戦っている。地元住民はオーバーツーリズムのせいで物価が上がったと考えている。
バルセロナではたくさんのデモ参加者が集まり、家賃の高騰や「住みにくい街」になった原因としてマスツーリズムを非難した。
7月6日、バルセロナでは150以上の団体を含む数千人のデモ参加者が抗議の声を上げ、街中を行進したと複数のメディアが報じた。
「バルセロナは売り物じゃない」「観光客は帰れ」などと書かれたサインを掲げる参加者の姿をカメラは捉えている。
観光客に水鉄砲を使うデモ参加者。
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BBCが入手した映像は、人気観光地を訪れる人々に対して、水鉄砲を使って「帰れ!」と声を上げるデモ参加者の姿も捉えている。
レストランやホテルをテープで封鎖するデモ参加者もいた。
バルセロナはその地中海性気候と独特の文化で、毎年何百万人という旅行者を引き付ける世界有数の観光地だ。バルセロナの観光当局によると、2023年に受け入れた観光客の数はバルセロナ市が約1560万人、バルセロナ県では約2600万人だった。
旅行者の流入はバルセロナの経済を潤す一方で、現地の物価を上昇させるなど悪影響を及ぼすこともある。
デモ参加者にテープで封鎖されたレストランやホテルもあった。
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レストランで食事中、抗議デモに巻き込まれた人も。
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ロイターによると、バルセロナや、マドリードといったその他の人気都市では6月の時点で家賃が1年前から18%値上がりした。
デモ参加者の1人は「街はすっかり観光客向けになってしまいました。わたしたちが望むのは観光客のための街ではなく、市民のための街です」とロイターに語っている。
別のデモ参加者は、レストランやホテルといった観光客が多い場所は、観光でかなりの収入を得ているものの、地元の人々の中には「とても貧しい状況で、生活するのに十分なお金がない人もいます。それは問題です」と話している。
住民の1人は、結果的にバルセロナは苦しんでいるとAFPに語った。
「観光業に反対するつもりはありません。ただ、ここバルセロナでは観光客が増え過ぎて、住みにくくなっています」
抗議デモの様子。
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Business Insiderはバルセロナ市長や警察、観光局にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
バルセロナ当局はここ数カ月、オーバーツーリズム対策に乗り出している。オーバーツーリズムの問題は日本やイタリア含め、多くの人気観光地が取り組んでいる問題だ。
USAトゥデイなどが報じたように、バルセロナは4月に観光税を値上げした。
ブルームバーグによると、その後、6月には住宅の短期賃貸を全て禁止する計画を発表した。
「さらなる住宅供給が必要です。今日、わたしたちが提示する措置は、働く中間層が住宅を手に入れられないために市外に出る必要がないよう、供給を増やすためのものです」とバルセロナのジャウマ・コルボニ(Jaume Collboni)市長は語った。
「この対策で状況がすぐに変わるわけではありません。こうした問題の解決には時間がかかります。ただ、この措置によって、わたしたちは転換点を作ろうとしているのです」
バルセロナは混雑と環境汚染に歯止めをかけるため、2023年にクルーズ船の特定のターミナルへの入港を禁止している。