48歳でFIREした男性が伝授する、ミリオネアになるための投資法。そして、もっとも役立ったアドバイスとは?

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48歳で早期退職した時点で、エリック・クーパー氏には7桁の数字を誇るポートフォリオと4つの賃貸物件があった。

Courtesy of Eric Cooper

  • エリック・クーパー氏は長年にわたって確定拠出年金を最大限に活用し、賃貸物件を購入したのち、FIREを達成した。
  • キャリアのほとんどの時間でハイテク株とミューチュアルファンドに投資してきたが、今はインデックスファンドを多用している。
  • 賃貸物件はすでに完済しており、年間6万5000ドル(約1000万円)の家賃収入をもたらしている。

エリック・クーパー氏は2021年11月、48歳になる数週間前に退職願を提出した。最後に出勤したのは2022年1月3日だった。

「その年の401(k)(アメリカの確定拠出年金)へ最大限に拠出するために、あえてその日を選んだ」。ケンタッキー州のルイビルで早期退職者として暮らすクーパー氏はBusiness Insiderにそう語った。彼がまだ20代前半だったころに上司から受け取ったアドバイスに従ったのだ。

「上司は眼鏡越しに私を見つめて——それはもうまっすぐで誠実な視線だった——それまで私が受け取ったなかで最高にして無二のお金に関するアドバイスをくれた。厳しい口調で、『給料を受け取るたびに、自分の401(k)にできるだけ多くを拠出するといい。退職金の貯蓄にとって、本当に大切なことだ』と教えてくれたのだ」。1996年に大学を卒業してから、放送局WHASでレポーターおよびアンカーとして働いてきたクーパー氏は回想する。

初年度の年収が1万9000ドル(約220万円、1ドル=116円換算)だったクーパー氏は、当時はまだ401(k)の限度額まで拠出することはできなかったが、そのアドバイスのことは忘れなかった。

長く拠出し続けたことで、401(k)の資産額が240万ドルに

クーパー氏は数年後に転職し、年収がほぼ倍になった。

「1999年の終わりには3万5000ドル(約357万円、1ドル=102円換算)の収入があったので、かなり裕福になった気がした」と彼は言う。「給料はそれほど高くなかったが、質素な暮らしに慣れていたので、若くして401(k)を最大限に活用できるようになった」

それからの20年、クーパー氏は企業の広報部で働き、雇用主支援型の退職金プランを最大限に活用し続けた。拠出限度額は毎年変わる。1999年は1万ドル(約102万円、1ドル102円換算)だった。最後に通年で働いた2021年は1万9500ドル(約224万円、1ドル115円換算)だった。2024年現在では、最大拠出額は2万3000ドル(約345万円、1ドル150円換算)になっている。

「これは、私がしてきたなかでも、最も賢い選択のひとつだ。何年も、そして早い時期から複利が積み重なったことで、大きな違いが生まれた」。クーパー氏は語る。彼の退職金貯蓄の明細には、25年のキャリアで401(k)として240万ドル(約3億6000万円、1ドル=150円換算)が積み上げられてきたと記されている。

だが、「特別」なことは何もしなかったと、クーパー氏は指摘する。富を築き、経済的に自立するのに大切なのは「原則を理解し、それを実践し、人生においてそれを行なうのに適切な場所にいること」だそうだ。

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クーパー氏は2022年にリタイアして以来、世界中を旅行している。

Courtesy of Eric Cooper

もちろん、退職金を最大にするには「犠牲も必要」だとクーパー氏は付け加えた。同氏は年収が3万5000ドルだったころ(1999年頃)にも、限度額まで拠出した。彼は家庭環境の影響で倹約する習慣が身についていた。「私は若くして両親を失ったので、セーフティネットがなかった。何かあっても、私に手を差し伸べてくれる人はいない。だから、自分のことは自分でするしかなかったのだ。親がいない私には、貯金が安心の源だった」

クーパー氏は最初期の収入が少なかったことも役に立ったと考えている。そのおかげで、少ないお金で生活する知恵が身についた。そして、収入が増えても、6桁(数千万円)の年収が得られるようになっても、その生活を崩さなかった。

7桁のポートフォリオを形成し、FIREした彼が用いた投資法

クーパー氏は7桁のポートフォリオと5件の不動産ポートフォリオ(4つの賃貸物件と自宅)の詳細についてBusiness Insiderに説明し、Business Insiderは彼の納税請求書を通じてそれを確認した。

株式市場:ハイテク株から低コスト・インデックスファンドまで

クーパー氏の投資戦略は時間とともに変化してきた。収入の大部分を401(k)プランに蓄える一方で、証券口座とロスIRA(アメリカの個人退職勘定)も開設し、そこにも投資した。

「退職する前は、個別のハイテク株とミューチュアルファンド(アメリカのオープンエンド型投資信託)が中心だった」と彼は言う。「それらはとても優れたパフォーマンスを発揮した。ところが、2021年と2022年に状況が変わり、私は大打撃を受けた」

リスクを減らすため、「今はポートフォリオの大部分を、経済的自立を目指す人のあいだで人気の高い低コスト・インデックスファンドへ移し替えているところだ」

インデックスファンド投資はリスクが比較的低く、コストも少ない手軽な戦略で、S&P500などといった特定の市場指数のパフォーマンスに沿ったリターンを目指す。過去10年、S&P 500の年間収益率は11.18%だった。

不動産:1ベッドルーム・コンドミニアムから4つの高収益賃貸物件まで

若いころから401(k)プランを介して株式市場に投資してきたのに加えて、クーパー氏は不動産にも早くから投資していた。

「家主によって人権を奪われている」と感じた彼は、20代ですでに3万2500ドル(約332万円、1ドル=102円換算)を投じて1ベッドルームのコンドミニアムを買った。「私は自分でコントロールできる何かを手に入れて、少しずつ資産をふやしたいと望んだ。家賃を払っていたころは、お金を投げ捨てているような気がしていたのだ」

1年後にそのコンドミニアムを売り払い、1万ドル(約115万円、1ドル=115円換算)の利益を得た。それを使って今度は同じ建物内にある2ベッドルーム・1バスルームのコンドミニアムを買った。そして、毎月の住宅ローン返済の負担を減らすためにルームメイトを見つけた。

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2023年12月のエジプト旅行で友人と自撮りをするクーパー氏。

Courtesy of Eric Cooper

数年後に少し広い部屋に引っ越したが、それまで住んでいた2ベッドルーム・1バスルームのコンドミニアムは賃貸物件として手元に置いた。それから15年をかけて、クーパー氏は不動産ポートフォリオを拡大し、4つの長期賃貸物件を所有するにいたった。

「どれも完済しているので、年間で6万5000ドル(約1000万円、1ドル=160円換算)ほどの収入がある」。そう語る同氏は、不動産が早期退職において大きな役割を担ったと付け加えた。「退職前、100回計算しても、仕事をやめて給料がなくなることに対する不安がなくならなかった。でも、賃貸物件が衝撃を吸収してくれた。収入が入り続けるので、少し安心できたのだ」

クーパー氏が不動産を投資対象として好むのにはいくつかの理由がある。彼の不動産は現時点では収入をもたらしながら、時間とともに価値を高めている。税的にも有利だ。そして資産の多様化にも貢献している。

「そうならないとわかっているが、たとえば株式市場で全財産を失っても、賃貸物件からの収入が得られるし、いざとなればそれらを売ることもできる」

もちろん、不動産の管理は時間がかかるし、予測できない部分もある。彼も、水漏れ、よりによって感謝祭の日に故障した給湯器、あるいは手間のかかる入居者などに悩まされてきた。そのため、もし今から人生をやり直すとして、改めて経済的自立を目指すなら、不動産には手を出さないかもしれない。

「低コストのインデックスファンドに投資するほうが手軽だと思う」と言い、そのほうが戦略もはるかにシンプルだと付け加えた。「大切なのは、できるだけ早いうちに貯蓄を始め、収入よりも少ない出費で生活し、残りを低コスト・インデックスファンドに投じて、時間をかけて複利に仕事をさせることだ」

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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