シートベルトの使い方のデモンストレーションをする客室乗務員。
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- 市場調査会社YouGovは最近アメリカの旅行者を対象に、フライト中に許される行為についての考えを調査した。
- 筆者は安全デモンストレーションをを聞かなくてもいいと回答した人の多さに驚いた。
- さらにフライト中に靴を脱いで、シートベルトを外したままにする人の多さにも驚いた。
市場調査会社YouGovは最近、アメリカの旅行者を対象に、飛行機内での適切な行為について人々がどのような考えを持っているかについて調査をした。
いくつかの結果は予想通りで、80%以上の人がフライト中に子どもが通路で遊んだり、乱気流の際に座席を離れたり、酒に酔ったりする行為を非難していた。
イライラさせるものから危険極まりないものまで行為は多岐にわたっているが、分裂する今の社会であってもこのような行為が圧倒的な非難を浴びていることに私は心強く思った。
しかし、YouGovの調査結果には一部に驚くべきものもあり、場合によっては当惑せざるを得ないものもあった。
安全デモンストレーションに注意を払おう
回答者の20%が、フライト開始時の安全デモンストレーションを無視しても問題ないと答えている。
これは、飛行機を頻繁に利用する人がとる態度であり(32%)、飛行機をまったく利用しない人の場合ではわずか16%だった。
フライト前の安全デモンストレーションが平凡で余計なことだと感じてしまうのに同意するが、それでも安全デモンストレーションは航空機の非常口や安全装置を確認する極めて重要な役割を果たしている。
これらはすべて混乱するかもしれない緊急避難時に役立つ情報を与えてくれる。これだけの情報があれば、混乱して方向感覚を失いかねない緊急避難時に役に立つことだろう。
一見役に立たないように見えるシートベルトの使い方のデモンストレーションも役に立つことがある。実は、緊急事にベルトの外し方を忘れてしまう乗客がいることが知られているのだから。
この安全デモンストレーションを見なければ、緊急時に迅速かつ安全に乗客を機内から避難させるためチームで動く客室乗務員の仕事を増やすだけだ。
私は66%がこの行為に否定的であったという事実に勇気づけられているが、少なくとも機内にいる5分の1の人が、命に関わる状況でどう行動すればいいのか知らない可能性が高いことを懸念している。
シートベルト着用サイン。
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着席時はシートベルトを着用する
シートベルトを外すことについてはどうだろう。47%の回答者がシートベルト着用サインが消えているときはシートベルトを外してもいいと回答している。
飛行機に乗る人々がシートベルト着用サインが消えていることを捉える意味と、それが実際に何を意味しているのかということの間には、根本的な食い違いがある。
シートベルトの着用サインが消えていれば、乗客がトイレを使ったり、頭上の荷物入れから何かを取り出したりするために安全に立ち上がることができる。ただし、乗客は座席に戻ったときには座ったままでシートベルトを着用しなければならない。
乗務員が着席時にはシートベルトを締めるように乗客にアナウンスをすることもある。
激しい乱気流によって、機内で負傷者が出たり、死亡事故にまで発展した最近の例を考えれば、こうした警告には耳を傾けるのが賢明だろう。
フライト時には絶対に靴を脱いではいけない。
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フライト中は靴は履いたままでいる
同調査によると、アメリカの成人の30%が飛行機の中で靴を脱ぐ行為は許されると回答している。
翼のある加圧された金属製の容器に乗って空を飛��ことは、まさに現代工学の驚異だ。私は誰かの足の匂いをかぎながらこの驚異を楽しみたくないし、これはほとんどのフライト利用者の意見を代弁しているとも思う。
嗅覚への攻撃以外のことを考えてみると、機内を靴下だけで歩き回るのは衛生的にもいいことだとは言えない。
航空機はかなり頻繁に掃除機をかけられているものの、カーペットはより徹底した清掃の合間にも多くの乗客と接触している。
食べ物や飲み物から泥や土まで、あらゆる種類の汚物がカーペットに付着している。最も極端なケースでは、2023年7月のトロント行きのエールフランス航空(Air France)機内のような血まみれの排泄物や、2023年9月のデルタ航空(Delta Air Lines)の下痢などのバイオハザード(有害物質)の問題が出てくる可能性もある。
航空会社は通常、バイオハザードで汚染されたカーペットを撤去するが、デルタ航空のフライト後ではそうだったように、「靴を履いたままでいるように」という言葉は、吐き気を催す状況で大切な警告の役割を果たしている。