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PC-FXGA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
PC-FXGA
メーカー NECホームエレクトロニクス
種別 パソコン拡張ボード
世代 第5世代
発売日 1995年12月8日
(PC-9800シリーズ用)
1996年6月28日(DOS/V用)
CPU V810 21.475MHz
GPU HuC6270
ディスプレイ S端子またはビデオ端子
対応メディア CD-ROM(パソコンのCD-ROMドライブを使用)
対応ストレージ パソコンのディスクメディア
コントローラ入力 有線接続(FX-PAD×2)
互換ハードウェア PC-FX
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PC-FXGA(ピーシーエフエックスジーエー)は、日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)より発売されたPC-FX上位互換のパソコン拡張ボード。GAはゲームアクセラレータ(英語: Game Accelerator)の意。

別売[1]の開発環境(GMAKERスタータキット)により、ユーザーがプログラム自作することも可能だった。

概要

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1995年12月8日に「ゲームアクセラレータボード PC-FXGA」の商品名でPC-9800シリーズCバス)用が発売され、1996年6月28日にDOS/V(フルサイズISAバス)用も発売された。1995年3月17日に98CanBe専用に発売されたPC-FXボード(型番:FX-98IF)とは別物である。Cバス用は98CanBe以外のPC-9821シリーズPC-9801シリーズでも動作する(PC-FXボードも98CanBe以外で動作可能)。標準価格は46,000円(税別)だったが、後に秋葉原などで投売りされていた。

パソコンのCD-ROMドライブを使用してPC-FX・PC-FXGA用ゲームソフトがプレイできる。MS-DOSコマンドプロンプトから専用ソフト[2]を起動することで、CD-ROMドライブを占有して動作する。PC-FXGAの動作中は基本的にPCの操作はできない(ユーザー開発ソフトを用いた場合、Windows 9x環境では操作可になる場合もある)。ゲーム画面の表示出力はS端子またはビデオ端子RGB出力には対応しない。

ゲームのセーブデータはパソコンのディスクメディアフロッピーディスクまたはハードディスク)にファイル(バックアップメモリファイル)で保存される。PC-FX用のPC-FX バックアップメモリパックは使用できないため、PC-FXとの間でセーブデータを交換することはできない。

PC-FX・PC-FXボードには非搭載の3DCG表示用チップ・HuC6273が搭載され、自作プログラムから利用することができる。

PC-FXGA専用CD-ROM(「SAMEGAME FX」収録)とアマチュア提供CD-ROM(3DCGアニメーション制作入門ツール「DOGAGINIE1(ドーガジニー1)」などを収録)が付属する。

PC-9800シリーズ用(Cバス用)は消費電力が10Wと大きいため、他の拡張スロットに拡張カードを挿していると本体の動作に影響が出ることがある。PC-9800シリーズ用の取扱説明書には、電源容量確保のため拡張スロットを2スロット使用する旨が記載されており、本製品を装着するスロット以外に1スロットを空ける必要がある。ただしPC-9821CbPC-9821Cb2などの対応機種であれば、Cバスが1スロットしか無い機種でも使用可能である。電源はCバスから供給されるDC5Vと付属ACアダプタから供給されるDC13.5Vで賄われている。

仕様

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以下はPC-9800シリーズ用PC-FXGAのもの

  • CPU32ビットRISCプロセッサ V810 (μPD70732GD-25)21.475MHz
  • メインRAM:2MB
  • VRAM:2.625MB
  • ROM:1MB
  • 表示色数:最大1677万色
  • 映像信号:NTSC方式
  • 映像出力:S映像出力×1、ビデオ出力×1
  • 音声端子:AUDIO IN×1、AUDIO OUT×1
  • 音声特性:周波数特性 20Hz - 20kHz
  • 使用電源:DC5V(パソコンから供給)、DC IN 13.5V(付属ACアダプタ:PPAD-1から供給)
  • 消費電力:10W
  • 重量:約400g(本体)、約200g(PC-FX専用パッド)

動作環境

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PC-9800シリーズ用

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  • 対応機種:PC-9800シリーズ(CPUにi486SX 33MHz以上を搭載したもの)、PC-H98シリーズは未対応
  • HDD容量:200KB以上の空きエリア
  • CD-ROM:データ転送速度が300KB/Sec以上のもの(2倍速以上)、ただしファイルスロット接続タイプは除く[3]
  • SCSIボード:PC-9801-92、PC-9821-E10または同等品[4]
  • ディスプレイ:ビデオ入力端子、Sビデオ入力端子付のテレビ、またはディスプレイ
    • CanBeシリーズ(PC-9821Cb、PC-9821Cx、Cf、Cb2、Cx2)ではCanBeシリーズのディスプレイで利用可能(ただしPC-9821Cb2/B、Cx2/S15B、Cx2/S17Bは除く[5]
  • 対応OS:日本語MS-DOS Ver3.3以上、日本語MS-DOS CD-ROM Extensions英語版 Ver2.2以上

DOS/V用

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  • 対応機種:IBM PC/AT互換機でフルサイズのISAバススロットを持つ機種
  • CPU:i486SX 33MHz以上(i486DX4 100MHz以上を推奨)
  • メモリ:640KB以上
  • HDD容量:200KB以上の空きエリア
  • CD-ROM:データ転送速度が300KB/Sec(2倍速)以上(600KB/Sec(4倍速)以上を推奨)
  • 対応OS:MS-DOS 6.2/V、PC DOS J6.3/V、Windows 95(MS-DOSモード)、CD-ROM Extensions Ver2.2以上

搭載チップ

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専用ソフト(別売)

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その他

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PC-FXの互換品としてみた場合、PC-FXのものよりも高速なCD-ROMドライブが使える、ユーザー開発ソフトを用いてPCのメモリをCD-ROMのキャッシュとして利用することができる(外部リンクのPC-FXGA快適化計画を参照)、セーブデータを多数保存することができるなどの長所が多いが、その反面、ビデオ出力のみのため、ゲーム画面をPCのRGBディスプレイに直接表示させることができない(CanBeの一部機種では、専用ソフトによるPC-FXGA起動時にビデオ入力に切り替えることができた[6][7])、コントローラ等のコネクタがPCの背面になる(PC-98用のみ)などの問題もあった[8]

脚注

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  1. ^ PC-9800シリーズ用は、GMAKERスタータキットを同梱した「PC-FXGAキャンペーンセット」も販売された。
  2. ^ PC-9800シリーズ用はFXGA.EXE、DOS/V用はFXGAV.EXE。
  3. ^ 外付けCD-ROMドライブ使用時は、PC-9801-92、PC-9821-E10または同等品のSCSIインタフェースボードが必要。
  4. ^ 本製品使用時は、SCSIインタフェースボードの設定をCPU転送モード、CD-ROMドライブをSCSI-1モードに設定する必要がある。
  5. ^ 別売りの「TVチューナ/ビデオキャプチャボード」(型番:PC-9821CB2-B03)を使用する事で、PC-9821Cb2/BはPC-9821Cb2と、PC-9821Cx2/S15B、Cx2/S17BはPC-9821Cx2と同等機能になる。
  6. ^ PC-9821Cb/Cx/Cfでビデオ入力を使用する場合、コマンドプロンプトで「FXGA.EXE /M」を実行。PC-9821Cb/Cx/CfでSビデオ入力を使用する場合、コマンドプロンプトで「FXGA.EXE /M /VS」を実行。
  7. ^ PC-9821Cb2/Cx2でビデオ入力を使用する場合、コマンドプロンプトで「FXGA.EXE /M2」を実行。PC-9821Cb2/Cx2でSビデオ入力を使用する場合、コマンドプロンプトで「FXGA.EXE /M2 /VS」を実行。
  8. ^ DOS/V用では入出力インタフェース部がコネクタボックスとして分離しているため、PCの前面側に取付可能。

参考資料

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  • 『ゲームアクセラレータボード PC-FXGA取扱説明書』(PC-9800シリーズ用)、日本電気ホームエレクトロニクス

外部リンク

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