東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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今日の君から明日の君へ

仮面ライダー響鬼』感想・第41-42話

◆四十一之巻「目醒める師弟」◆ (監督:金田治 脚本:井上敏樹
 あきら、咄嗟の勢いで、鬼にへ……ん……しん!
 木人に背後から体当たりを仕掛けるもすぐに吹き飛ばされてしまうが、その間に響鬼威吹鬼を救出。あっさり気絶して変身の解けたあきらは装甲を維持できず、吉野は鬼のなり手不足の問題に対して、もっと手を打てる事があるような気がしてならないわけですが、なにぶん小暮さんが上層部に居たりする組織なので「最近の若いもんはなっとらん! 俺が現役時代は、全裸でも臆する事なく田んぼの中を歩いて帰ったものだ!」ぐらい言いそうなので、早くイブキさんが宗家の実権を握る事が望まれます。
 あきらは威吹鬼に助けられ、駆け寄ろうとした少年たちは森の木に行く手を阻まれ、デリカシーを感じる、森。
 一同の苦戦は続くが、なんとか撤退に成功すると、さすがにたちばなでお説教タイム。
 京介は鬼になりたいと懇願し、明日夢も京介に同調すると、ヒビキさんは「あきらもあきらだよ」と矛先を変え……完全にこの人、反応が可愛くなくなった明日夢くんに対応できてないな(笑)
 居合わせた一同の中では、香須実さんだけが(そうかそうか)みたいな表情なのが色分けとして印象的なところで、この際、男子2人はどうでもいいイブキ王子には、女子高生の心がわからぬ。
 人手不足を嘆いているわりに、「受け入れる/受け入れない」のどちらにせよ、積極的な弟子志望者への対応がぐでんぐでんな(悪い意味で、大人の理屈を振り回すだけになっている)猛士関東支部ですが、肝心の偉い人はコダマの森の資料にかかりきり。
 古文書の中に「オロチ」の名を見た事務局長は蝶の式神に導かれ、その先で待ち受けていたのは、和服の男女。
 「コダマの森は前兆に過ぎない。オロチが現れる。その時が近づいている」
 「知っていますね、オロチを」
 「ならば鬼を集めろ。さもなくば……全てが滅ぶ」
 和服の男女が猛士に接触してくる異常事態の一方、ヒビキさんは少年達をどう扱えばいいのか悩んだ末に、弟子入りを承認。
 か・ら・の……
 「じゃまずは、鬼の事も、魔化魍の事も全部忘れて、普通の高校生に戻るんだ」
 師匠の言う事を聞くと言質を取った後で思い切り距離を取り直そうとする騙し討ちに大ブーイングが巻き起こり、取ったばかりの弟子2人、猛士史上最速の退会。
 ……ま、冷却期間を置くのも、学生を全うするのも、一理あるといえば一理あるかなと思ったのですが、この後のたちばなでの会話の雰囲気からは、引き続きヒビキさんの方が煮え切らずに「逃げている」節が窺え、そろそろ威吹鬼さんの真空Vの字チョップが脳天に炸裂した方がいいのかもしれません。
 明日夢と京介が、宣言通りにあきらに教えを乞う(高校生トリオの組み合わせはちょっと面白い)一方、イブキと香須実がコダマの森に呑み込まれ、香須実が森の奥へと引きずり込まれてしまう。
 「コダマの森は森にあらず。一つの木によりてあやつらるるなり」
 超特急で吉野へ向かった勢地郎からは攻略法が届けられ、エース戦力が携帯電話を持っていない為に、高校生トリオに緊急連絡を回すの、組織として欠陥が過ぎるのですが、もうヒビキさんには、ポケベルを持たせればいいのではないか。
 コダマの森へと突入すると、あきらは威吹鬼に銃をトスし、明日夢と京介は消化されかけている香須実と、それを捕らえた森の本体を発見。
 そこに轟鬼のギターが吹き飛ばされてくると、二人でそれを握りしめ……姐さんのかたきじゃぁぁぁぁぁ!!(死んでない)
 予告でばっちり見せてはいましたが、“誰かを守る為、恐れを乗り越えて魔化魍に立ち向かう”明日夢と京介にとっての具体的で大きな一歩が、古式ゆかしいドスアタックに集約され、木の間から顔を出しているヒビキさんの存在含めて、完全にその筋でいうところの「男を見せる」に結実しているのが、凄く、東映ヒーローです。
 鬼の武器なので、2人がかりでないと持ち上げられない、のはスムーズに劇的さを生み、香須実さんが、背後のコダマよりも眼前に迫り来る凶器のスコップの方に悲鳴をあげているのが、そこはかとなく面白い。
 往生せいやぁぁぁとドスもといギターの刃がコダマ本体に突き刺さると、急速に弱体化した木人は威吹鬼がラッパで撃破し(多分バイオミンミン以来5話ぶり)、コダマ本体は増援に駆けつけた響鬼が装甲からの秘剣・鬼セイバーで吹き飛ばすと、森は消滅。
 「……最後のサポートが出来て、嬉しかったです」
 「……そうか。そういう結論を出したんだね」
 周囲の風景が元に戻ると、あきらはイブキに退職届を提出し、勝手な入門許可については、明日夢と京介に、自分がイブキから教わった事を多少なりとも伝えたかったから、と説明。
 「最後にお願いがあります。安達くんと桐矢くんを、弟子にしてあげて下さい」
 あきらは2人の弟子入りをヒビキに後押しするのを置き土産として鬼への道を断念し、うーん……うーん……うーん……シュキ編からの流れからすると、あきらは結局、“自分の中の鬼を殺せない”事を受け止めた、と取って良さそうですが、エピソードの主題は既に「明日夢と京介はヒビキに弟子入りできるのか」に移っているので、あきらに関しては与えられた「試練」を克服できないまま、途中で放り捨てられたような居心地の悪い感覚に。
 復讐の為なら自分どころか他人まで犠牲にしようとするシュキの姿や、そんな人間の言葉を受け入れてイブキの手を払いのけた事に対する自罰的感情などもあったのでしょうし、シュキ編で踏み込んだ“鬼とは何か?”については今後、ヒビキ-明日夢・京介、の関係性の中で語られていくのかもしれませんが、問題をぶつけるだけぶつけた上であきらが“当事者から外されてしまう”のは、少々飲み込みにくい結末でありました。
 ……今後どういう立ち位置になるのかわかりませんが、出来れば、鬼にならない事を「選んだ」あきらについて、もう一回ぐらい、小さくても良いからスポットは当ててほしいところ。
 「……どうした? ついてこないのか? 明日夢、京介」
 「「……ハイ!!」」
 イブキからも口添えが行われると、無言で背を向けて歩き出したヒビキは途中で振り返り、わかってはいたけど、既にちょっと面倒くさい感じを漂わせているなこの人……で、つづく。
 次回――弾ける轟鬼……!?

◆四十二之巻「猛る妖魔」◆ (監督:坂本太郎 脚本:井上敏樹
 「石段を一段一段登る。それが鬼の修行ってもんだ」
 ヒビキさんへの弟子入りかなった明日夢くんはランニング登校で体を鍛える意欲を見せ、お役御免でいきなり転校処理は免れたあきらと昼食を共にし、
 (あの冴えないホイッスル野郎、先日は持田さんで、今日は天美さんと一緒に弁当食べてるとか、どうなってるんだよ……?! ……後、安達に話しかけようとすると、いつの間にか桐矢が背後に立っているの、なにアレ怖い)
 と、クラスで友達が増える可能性はますます絶望的になっていた。
 俺の居ないところで安達くんと親しげに話しているなんて許しがたいな、と京介が顔を出すと、天美さんのように落ちこぼれないようにしなくちゃ、とさすがにどん引きレベルの厭味を口にし、前回ラストでは口添えしてくれたイブキとあきらに感謝を示す素振りもあったのですが、まともになってきたと思ったら下げずにはいられないのか……人間性は一朝一夕に変わらないとしても、さすがにここまで京介を感じ悪く描く必要は無かったのではと思うのですが、珍しく明日夢が面と向かって反論する姿を優先した面もあるでしょうか。
 見方によっては“明日夢をヒビキに弟子入りさせる”ところまで引きずり込んで一つの役割を果たしたといえる京介を、最終盤にどう転がしていくのかは、一つ興味深いところではありますが(露骨な明日夢くんの当て馬では面白くないですし)。
 「魔化魍の異常発生……?」
 「ああ。それが、“オロチ”という現象だ」
 その頃、轟鬼カニ……ではなく姑獲鳥の大発生に見舞われて撤収を余儀なくされ、吉野から戻った勢地郎は、ぼんやりとした伝説的な存在としてしか確認されていない“オロチ”について得た情報を明かす。
 「……おやっさん……最悪のシナリオは、どういう事ですか?」
 「……全てのものが、破壊される。……全ての人間が、魔化魍に食い尽くされる」
 物語が地方の妖怪退治から一気に世界の終わりへとスケールアップする一方、烏帽子姫は己のレゾンデートルについて思考を巡らせ始め(もしかすると、和服の男女=生き延びて自我を確立した童子と姫……?)、ヒビキは明日夢&京介に師匠として向き合い、
 恐らくは前期における
 〔猛士パート/明日夢パート〕
 の構造を踏まえ、
 〔オロチパート/師弟パート〕
 として、迫り来る“世界の終わり”との戦いと、明日へと繋がる日々の歩み、を意図的な緊迫感のギャップを持たせて同時進行する趣向。
 ……それはそれとして、
 「実はもう、修行は始まってんだよね」
 「どういうことですか?」
 「連絡が無い、焦る、不安になる。ま、そういう気持ちを抱えながらも、平穏でいられる気持ちが大切なんだけど……まちょっと、わかりづらかったかな」
 非常に特殊な業界ではあるのですが、鬼のなり手不足と相次ぐ候補者脱落に関しては、猛士サイドの自業自得な気がしてなりません(まあ、安易に鬼を認めて、結果として人的被害を増やす事の無いようにしているのは誠実さではありますが)。
 そんなに実感のある修行をしたいなら、望み通り泣いたり笑ったり出来なくしてやる、とヒビキさんが少年2人の体力テストを開始する中、トドロキは「俺、オロチの件が片付いたら日菜佳さんと温泉旅行に行くんだ」と自ら特大のフラグを立てていた。
 「ええっ?! あ、それって、あの、お泊まりって事ですか……?」
 「ええ?! ま、まさかぁ……! 日帰りっスよ、日帰り!」
 トドロキは挙動不審気味に言葉を重ね、まあ、勢地郎に政治的に処刑されるので……この職場恋愛は、とことんしんどい。
 だがそんな日常は、もはや無秩序に出現する魔化魍によって引き裂かれ……ある意味、後期になってこだわりの大半を放り捨てた魔化魍の扱いが、天然自然の法則を逸脱して混沌と破滅をもたらす存在と化す最終章に、上手く接続されたといえるのか(笑)
 響鬼は鬼神覚醒で化け蟻と猫又の軍団を撃破するが、威吹鬼轟鬼ザンキは、河童と胃袋と姑獲鳥とオトロシに遭遇し、轟鬼がオトロシにぐしゃっとされた上にぐりぐり磨り潰される洒落にならない攻撃を受け、生死不明となる激震で、つづく。
 次回――京介早くも脱落?! トドロキ再起不能?! そして、ザンキ決死の変身……!!