中国経済の問題は国内にある…輸出は堅調だが、国内の景況感は弱い

中国経済に対する最も差し迫った脅威は外部からのものではなく、内部からのものだ。

中国経済への最も差し迫った脅威は国外からのものではなく国内のものだ。

Costfoto/NurPhoto/Getty Images

  • 中国経済は需要の低迷が生産の足かせとなり、差し迫った国内問題に直面している。
  • 中国の製造業の活動に関する最近の2つの指標は、国内の景況感が弱い中、輸出の需要は堅調を示している。
  • 中国の不動産危機と消費者信頼感の低迷が製造業に悪影響を及ぼしている。

中国経済は現在、主要な貿易相手国のアメリカや欧州連合(European Union)による関税引き上げの脅威にさらされているが、これは中国にとって最も大きな問題ではないかもしれない。

それよりも、中国国内の需要の低迷の方がより差し迫った問題であるように見える。

2024年6月末に発表された大企業と国有企業の状況を表す中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で景況拡大と縮小の分かれ目の50を下回った。これとは対照的に、輸出志向の中小民間企業の活動を反映するS&Pグローバルのサービス部門PMIは、51.2と5月の54.0から低下し、8カ月ぶりの低水準となったものの、好不況の分かれ目である50は18カ月連続で上回った。これは、海外では中国製製品の需要が増加しているにもかかわらず、中国国内の消費者需要は鈍化していることを意味する。

この乖離は重要だ。なぜなら世界の工場である中国は、関税が発動されればその輸出品の一部に対する世界的な需要の低下に直面する可能性があるからだ。

野村證券のエコノミストらは最近の報告書で「中国経済は輸出だけに依存していては、力強い回復を維持できない懸念がある」と指摘している。

中国の主要な株価指数であるCSI 300指数は2024年5月に高値を付けた後、上昇幅を若干縮小しており、野村のエコノミストらは中国の回復に対する市場の信頼感は失われつつありあると書いている。

ブルームバーグ・エコノミクス(Bloomberg Economics)のエコノミスト、エリック・チュウ(Eric Zhu)は2024年7月1日、「輸出は今後数カ月の成長を支えるかもしれないが、国内経済の弱さを克服することはできないだろう」と話している。

中国の消極的な消費者が生産活動の足を引っ張っている

中国のPMIは、同国の経済の課題を浮き彫りにしている。

中国は現在、痛みを伴う経済転換期を乗り越えようとしており、これが不均等な経済状況の一因となっている。また、大規模な不動産危機、株式市場の不安定化、地政学的な逆風、人口問題の課題にも直面している。

そのような景気の先行き不透明感が消費者心理を冷え込ませ、リスクの回避に拍車をかけている。人々は嗜好品ではなく、体験に対してお金を払うようになっている

消費者需要の低迷は、賃金上昇と個人消費の鈍化を背景としたデフレ圧力の悪循環を助長しかねないため、中国経済にとっては好ましくないものだ。

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